CBR試験の試料採取をする事になったけど、どうやってやるの?
試料採取する深度は何mなの?
試料採取する時に注意する点は?
道路で試料採取する場合は何か所?
宅地や開発行為で試料採取する場合はどうなるの?
本記事は、上記のような疑問に答えるために書いた記事です。
私は、現役のCBR土質試験技術者です。
現場監督さんから質問があった内容について答えていきたいと思います。
本記事を読むことで得られるメリットは以下のとおりです。
- CBR試験の試料採取方法が分かります。
- 試料採取する深度が分かります。
- 試料採取する時の注意点が理解できます。
- 試料採取する箇所数が分かります。
目次
CBR試験の試料採取方法【箇所数、深度の注意点】
CBR試験の試料採取方法
採取方法について
CBR試験の試料採取の方法は、2種類あります。
・締め固める土の採取(変状土採取)
・乱さない土の採取(現状土採取)
締め固める土の採取(変状土採取)
締め固める土の採取(変状土採取)は、土を「乱した」状態で採取します。
採取の仕方としては、バックホウによる掘削や人力掘削があります。
一般的には、この方法がCBR試験の試料採取では多く利用しています。
乱さない土の採取(現状土採取)
乱さない土の採取(現状土採取)は、土を「乱さない」状態で採取します。
採取の仕方は、モールドの先端にカッターを取り付けて押し込む事で土を採取します。
土を乱すと著しく強度が下がってしまう事が分かっている土(関東ローム等)で使用します。
CBR試験試料採取の箇所数
箇所数は、道路延長上に3箇所以上が望ましいです。
出典根拠は以下のとおりです。
CBR試験用の試料の採取は、調査区間が比較的短い場合や、路床土がほぼ同一と見なされる場合であっても、道路延長線上に3箇所以上とすることが望ましい。
平成18年2月 社団法人 日本道路協会 舗装設計便覧 P67
CBR試験試料採取の掘削深度
上図をご覧ください。
CBR試験試料採取の掘削深度は、路床面(路床天端)から深度1.0mまで行います。
路床面(路床天端)は、舗装厚さで変わる事があるため、想定路床面よりも深めに掘削しておく事が良いです。
掘削する際は、土層の変化が確認できるように0.2m程度で少しづつ掘削しておくようにしましょう。
路床面から0.5mまで土層に変化がなければ、0.5~0.7m付近で試料を採取します。
路床面下1.0m内で土層が変わる場合は、各層で試料を採取しておきます。
余談ですが、掘削する時は地下埋設物に注意しましょう。(水道、下水道、電気、ガス等)
CBR試験試料採取の注意点
注意点は以下のとおりです。
・採取した試料は、含水比が変化しないように容器(ビニール袋等)で密閉する。
・地下水が出た場合は、深度を確認しておく。(路床改良が必要になる場合、地下水の有無は施工性にかかわるため)
・路床が安定処理している場合は、ブレーカー等が必要になる事がある。
・バックホウのツメを「平ツメ」と「ツメ」の2種類を用意しておく。
・既設路床にセメントが混入しているか確認するために、フェノールフタレイン溶液を用意しておく。
・現場の地質・地形から、乱さない土の採取(現状土採取)を行う必要がある場合は、モールドやカッターを用意しておく。
官庁営繕の舗装工事の場合
官庁営繕の場合は、以下のサイトが参考になります。
国土交通省 官庁営繕
https://www.mlit.go.jp/gobuild/gobuild_tk2_000017.html
該当ページは以下の通りです。
官庁営繕の技術基準
↓
3.施設整備関連基準
↓
3-2.建築設計関連
↓
構内舗装・排水設計基準
構内舗装・排水設計基準の資料
CBR試験試料採取の箇所数は以下のように記載してあります。
舗装面積 1,000 ㎡当たり 1 箇所程度とし、地盤の状況に応じて適切に行う
平成 27 年3月 31 日 国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課
構内舗装・排水設計基準の資料 P3
宅地や開発行為(工場・倉庫など)
宅地や開発行為の場合は、舗装に関して基準がないと思われます。
従って、実務では構内舗装・排水設計基準の資料を参考にCBRの設計を行っています。
箇所数については、1000m2に1箇所を基本としています。
ただし、ほとんど小型車しか利用しない場合や大型車がほとんど通らない場合などは箇所数を減らす事も考えます。
既存のボーリングデータや地盤調査の結果、当該地の地質状況から技術的な判断が必要です。
運送会社の場合などは、舗装の劣化具合が業務に直結して影響する事が考えられます。
発注者の理解を得たうえで、CBR試験の箇所数を考えることが重要です。
CBR試験の試料採取方法のまとめ
いかがでしたでしょうか?
CBR試験の試料採取の方法について理解が深まりましたか?
今後も皆様のお仕事のお役に立てる記事を書いていきます。