現場密度試験って、土木工事でよく使われているけどイマイチ意味が分からない。
発注者から現場密度試験の事を聞かれたけど上手く答えられなかった。
こういった疑問や要望に応える記事です。
本記事で分かることは下記のとおり。
- 現場密度試験の目的を理解できる。
- 発注者さんから現場密度試験について聞かれても答えられる。
私は、現役の現場密度技術者です。
現場監督さんから依頼を受けて、何度も現場密度試験を行ってきました。
でも実際に話を聞いてみると、しっかりと現場密度試験の事を理解している監督さんって少ないものです。
現場監督の仕事って忙しいですからね・・・。
そこで今回は、分かりやすい現場密度試験の記事を書きました。
結論、この記事を読む事で、現場密度試験の目的を発注者さんから聞かれても安心して答えられますよ。
目次
現場密度試験の目的とは?【分かりやすく解説】
なぜ現場密度試験が必要なの?
現場密度試験の目的は、「土の品質管理を行うため」です。
土には色々な種類のものがあります。
簡単に3種類に分類にすると
・粘性土
・砂質土
・礫質土
があります。
3種類の土を、同じように管理することはできません。
そこで、それぞれの土ごとに最大乾燥密度(通称:基準密度)を決めます。【最大乾燥密度は後で詳しく説明します。】
現場で品質管理する時は、最大乾燥密度(通称:基準密度)に対して現場で施工した土はどれだけ締固まっているかを確認します。
現場密度試験の種類は?砂置換と突砂法の使い分けは?
現場密度試験は、主に砂置換法と突砂法(とっさほう)があります。
砂置換法と突砂法を簡単に区別すると以下のとおりです。
・砂置換法 最大粒径53mm以下の土 例:粒度調整砕石・RC-40など
・突砂法 最大粒径53mm以上の土 例:山土・流用土など
「最大粒径53mm」がポイントです。
一般的な使い分けは以下のとおり。
砂置換→上層路盤・下層路盤
突砂法→路体・路床
現場密度試験の用語・単位の意味
現場密度試験の単位【g/cm3の意味】
現場密度試験の単位は、g/cm3です。
意味は、1立法センチメートルの中に何gあるか?です。
一般的な土の密度は以下の通り
粘性土 1.4~1.6g/cm3
砂質土 1.6~1.9g/cm3
礫質土 1.8~2.2g/cm3
湿潤密度・乾燥密度とは?
土は、以下で構成しています。
土粒子
水
空気
密度とは、1立法センチメートルの中に何gあるか?です。
湿潤密度は、「水」が入っている。
乾燥密度は、「水」が入っていない。
違いは「水」だけです。
具体的に以下のとおり
湿潤密度は「水・土粒子・空気」を合計した質量のこと。
乾燥密度は「土粒子・空気」を合計した質量のこと。
空気は、土質力学の考え方として質量0としています。
最大乾燥密度(通称:基準密度)とは?
最大乾燥密度(通称:基準密度)は、「土が一番締め固まった時の乾燥密度」の事です。
同じ土でも、水の量が違うだけで「べちゃべちゃ」になるのか「カチカチ」になるのかイメージができると思います。
最大乾燥密度は、締固め試験を行う事で出せます。
締固め試験は、土の含水比を変えて締固めた時に、一番締固まった時の最大乾燥密度を求める試験です。
図を書くと以下のとおり。
縦軸が「乾燥密度」
横軸が「含水比」
最大乾燥密度は、赤丸の部分です。
土は、水が多すぎても、少なすぎても乾燥密度が上がりません。
最大乾燥密度は、最も含水比がちょうど良い時の状態です。
最大乾燥密度の時の含水比を「最適含水比」と呼びます。
現場密度試験の目的を発注者に話す【具体例】
現場監督と発注者との会話
おはようございます。
現場密度試験の立会、宜しくお願いします。
おはようございます。
宜しくね。
今日の現場密度試験ってなんのためにやるんだっけ?
はい。
現場密度試験は、土の品質管理のために行います。
土は、室内土質試験で最大乾燥密度を確認してあります。
最大乾燥密度は、2.200g/cm3でした。
規格は、路体で最大乾燥密度の90%以上です。
2.200*90%=1.980
現場で確認する密度は1.980g/cm3以上でなければいけません。
はい。分かりました。
現場密度試験って、砂置換法と突砂法があるけど今日はどっちでやるの?
はい。
今回の路体盛土は、最大粒径100mmの山土を使用しています。
最大粒径53mm以上ですので、今回は突砂法を採用しています。
わかりました。
では現場密度試験をお願いします。
まとめ
いかがでしたか?
現場密度試験の目的は、理解が深まりましたか?
今後は、より詳しい現場密度試験のことを書いていきます。