がけ条例で、家を建てる時に困ってしまった。
・想定外の擁壁工事が必要になった。
・想定外の杭工事が必要になった。
・想定外の基礎工事が必要になった。
・想定外の盛土、切土工事が必要になった。
・想定外の費用がかかった。
この記事は、上記の疑問に答えます。
・地質調査を行う事で、がけ条例の制限が緩和される可能性がある。
・がけ条例の制限を緩和する事によって、費用が下がる可能性がある。
本記事は、現役の地盤調査・土質試験の専門家が、静岡県建築基準条例第10条に基づき記載しております。
出典:静岡県建築基準条例第10条の解説 詳細版(平成30年8月1日作成)
http://www.pref.shizuoka.jp/kenmin/km-340/documents/gaketoriatukai.pdf
目次
静岡県 がけ条例【地質調査で「がけ条例の緩和」をする方法】
がけ条例の内容
がけの判断
「がけ」の定義は、以下の通りです。
・水平面からの勾配が30度を超え、かつ、高さが2mを超えるもの。
図で説明すると以下の通りです。
がけの下端から30°のラインが出ています。
がけの上端は、30°のラインが上段で抜けたところです。
赤線が、がけの高さです。
がけは、2mをこえるときに「がけ」の扱いです。2m未満の場合は「がけ」ではありません。(※)
(※)静岡県の場合です。他県は異なる場合があります。
がけ条例の審査フロー
審査フローの内容
静岡県のがけ条例の審査フローは、以下のとおりです。
今回は、赤で囲まれた「がけ面(土質)の調査により擁壁不要を確認」について解説いたします。
がけ面(土質等)の調査により擁壁不要を確認
地盤調査の方法
ボーリング調査・標準貫入試験
地盤調査の方法は、ボーリング調査・標準貫入試験が一般的に利用されております。しかし、ボーリング調査は、機械が大きいため、搬入路が狭いところや傾斜地では費用が高額です。
簡易貫入試験
簡易貫入試験は、傾斜地や狭小地で利用できるように、小型化された地盤調査方法です。小型で取り扱いが容易なため、斜面地の地盤調査に良く利用されています。地盤状況が大きく変化している箇所では、間隔を詰めた密な調査を行う事ができます。
地形地表踏査
がけの角度
がけの角度と距離を測量します。
測量した結果で、がけの高さや角度・距離が分かる断面図を作成します。
表土の状態
表土の状態を観察します。
表土の堆積物がどのような種類なのか?
砂礫主体なのか?砂質土なのか?粘性土なのか?
目視による土層の判断を行います。
露頭の状況
岩盤が露頭している場合は、露頭の観察を行います。
がけの勾配を決定する時は、新鮮な岩盤なのか?風化した岩盤なのか?が重要な要素です。
湧水の状態
地下水の状態を把握するために、湧水の状態を確認します。浮石等がある場合には注意が必要です。
地質調査の結果から勾配を決定する
地質調査の結果から、推定地質断面図を作成し、土質に応じた勾配を決定します。
勾配の決定は、土質に応じて以下の種類があります。
土質 | 擁壁を要しない 勾配 | がけの上端から垂直距離 5 メートル以内は擁壁を 要しない勾配 |
軟岩(風化の著しいものを除く。) | 60° | 60°をこえ80°以下 |
風化の著しい岩 | 40° | 40°をこえ50°以下 |
砂利、真砂土、関東ローム、硬質 粘土、その他これらに類するもの | 35° | 35°をこえ45°以下 |
上表の土質の勾配と現況測量の結果から、がけ条例に対応する擁壁が必要なのか?不要なのかを判断します。
擁壁が不要となれば、費用を抑える事ができます。
まとめ
静岡県のがけ条例について理解が深まりましたか?
私は、静岡県の「がけ条例」についての地質調査を専門として担当してます。
ご相談等ございましたら、以下のお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。